[2019年3月31日更新]

「ああしんど」
作者:池田蕉園
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出版日等 | 1911(明治44) |
カテゴリ | 言葉遣い |
よっぽど古いお話なんで御座いますよ。私の祖父の子供の時分に居りました、「三」という猫なんで御座います。三毛だったんで御座いますって。
(中略)
随分永く――家に十八年も居たんで御座いますよ。大きくなっておりましたそうです。もう、耳なんか、厚ぼったく、五分ぐらいになっていたそうで御座いますよ。もう年を老ってしまっておりましたから、まるで御隠居様のようになっていたんで御座いましょうね。
冬、炬燵の上にまあるくなって、寐ていたんで御座いますって。
そして、伸をしまして、にゅっと高くなって、
「ああしんど」と言ったんだそうで御座いますよ。
ひとこと
いちいち古臭い表現に萌えます。
「よっぽど古いお話」に見られる「よっぽど」の使い方が、いかにも古い人って感じで可愛いですよね。
また、「まるで御隠居様のようになっていた」と言われても、いまひとつ想像しずらいです。時代の違いを感じます。